【 スムリティ(R-18)】▼
2011.11.30 *Edit
「庄司に会った?」
その夜、ベッドの中で今日のことを聞かれて、昼食を三人で食べた話しをした途端、やつはどこか機嫌が悪くなった。
「…はい。弥生が約束してたみたいで…。」
私は何の気なしに淡々と話していた。久しぶりに会ったら、庄司がすごく大人っぽくなっていたというようなことを。
ちょっとしたホテルのレストランで食事を取ったあと、やつは運転手を帰して、その上の階に部屋を取ったようだ。
あの施設の無駄に広いやつの私室に比べれば、それほど豪華でもないシンプルな部屋だ。大きなベッドが壁際にあってその向かいにテーブルと椅子が数脚、それだけだ。
しかも、バスルームとトイレが一緒になっている。変なの。
「何の話しをしたんだ?」
「何…って、特には。施設の子たちのこととか、庄司の今の仕事の話とか。」
ふん、とやつは鼻を鳴らす。
「お前に未練がありそうなことを言ってなかったか?」
「はあ?」
今日はイヤだと言い張った私を有無を言わさず強引に抱いたあと、更にまだ私の身体を撫でまわしながら、劉瀞は、今日は一日何をしていたんだ?と聞いたのだ。
今さらとは思いつつも、今日はイヤだと言ってみたのは、せっかく『外』に出た感覚をしっかりと味わっておきたかったのだ。まだ、弥生と過ごした時間の興奮の余韻が残っていたし、目まぐるしかった一日の光景をゆっくり反芻して楽しみたかったのだ。
こいつに抱かれたら、私はもう訳が分からなくなって、いつの間にか朝が来てしまうというパターンだ。
「庄司は、たった一人、俺に戦いを挑みに来た男だったよ。」
「…はあ。」
何のことか分からなくて、私はするりと下へおりようとする劉瀞の手を必死に制しながら相槌をうつ。
「お前が欲しい、ってね。」
「んっ…んんっ」
不意に劉瀞は、私の口をふさいで腰にまわしていた腕に力を込めた。抵抗する間もなく、私はやつの腕の中に抱きすくめられて、動きを封じられる。執拗に身体を撫で回されていたので、そこはずっと湿り気を帯びていたらしい。口を犯しながら、劉瀞の手は私の足の間をまさぐり、口が自由になったと思った途端、私は悲鳴をあげるしかなかった。
「きゃ…ぁぁっ、やあ…っ」
無遠慮に私の中に侵入してきた劉瀞は、そのまま奥まで到達すると動かずに私の様子をうかがう。
「庄司は良い男になってたって?」
「…そ…そんなこと…言ってな…」
「確かに庄司は良い男だよ。人間としても、男としてもな。でも、美咲、お前は俺のものだ。」
ぐい、と更に彼を押し込まれ、それは私の中を突き刺す。
「あっ…」
「覚えておけ、美咲。お前の身体を好きにして良いのは俺だけだ。他の誰にも触れさせることは許さない。」
低い、静かな声だったが、それは本気で言っていることだけは分かった。絶対的な命令をくだすときの底冷えのするしんと沈んだ声だった。
そんなすごまなくたって、別に私は庄司をどうこう思っているわけでも、特別な感情を抱いているわけでもない。
それは、劉瀞に対しても実は同じなのだが、それでも彼の指示で養われている私が、敢えて彼に逆らったりはしないってことは分かっている筈なのに…。
「…だ、だって…‘恋’のひとつもしてみろ、って…」
余計なことを言わなきゃ良いのに、なんだか、やつの物言いの理不尽さに、ちょっと私は抵抗してみる。
「ああ、そうだよ。それは構わない。お前も人並みに恋愛を楽しんでみるが良いよ。『外』で働いてみても良い。でも、それだけだ。」
私の胸を鷲摑みして、劉瀞は、先端に舌を這わす。もう、どこもかしこもとっくに敏感になっていた私は背筋に走る電流にのけぞる。
「やっ…あ、あ、ああっ」
手ですくい上げたり押し潰したりと私の胸を弄びながら、やつの舌は谷間や脇の下をくすぐる。繋がっている下半身がヒクついて、熱く疼きだす。触れ合っている部分が浸み出す液でべたついて、シーツを汚しているのが分かった。
「お前が狂って良いのは俺の腕の中でだけだ。」
だんだん、やつの言葉が意味を成さなくなっていく。頭は朦朧として、ただ身体の熱さだけを感じる。
こんな中途半端で弄ばないでよ、と私は結局、やつに哀願するしかない。
「りゅ…せ…お願…い…っ」
私の言葉が聞こえているのかいないのか、劉瀞は、更に散々私をじらした後、いきなり激しく腰を動かし始める。そして、今度は自分がイキそうになるとそれを逃がして、私の方が何度イってもどこまでも責められた。
「んっ…んんっ、んぅっ…ダ、ダメ…もう…っ」
目を開いていても、もう何も見えない気がするくらい、頭の中は真っ白で、揺らされる視界は光に満ちていた。熱くたぎる男が私の中で暴れ、そうかと思うと不意に動きが止まって生暖かい感触が胸を這い、唇を撫で、口の中を犯す。その熱い息遣いが耳のそばで何かをささやく。
いつでもこいつのセックスは激しかったが、その夜は異常なほどだった。
そして、恐らく真夜中過ぎに、やつが二度目の放出を終える頃には、私の意識はとっくになかった。
その夜、ベッドの中で今日のことを聞かれて、昼食を三人で食べた話しをした途端、やつはどこか機嫌が悪くなった。
「…はい。弥生が約束してたみたいで…。」
私は何の気なしに淡々と話していた。久しぶりに会ったら、庄司がすごく大人っぽくなっていたというようなことを。
ちょっとしたホテルのレストランで食事を取ったあと、やつは運転手を帰して、その上の階に部屋を取ったようだ。
あの施設の無駄に広いやつの私室に比べれば、それほど豪華でもないシンプルな部屋だ。大きなベッドが壁際にあってその向かいにテーブルと椅子が数脚、それだけだ。
しかも、バスルームとトイレが一緒になっている。変なの。
「何の話しをしたんだ?」
「何…って、特には。施設の子たちのこととか、庄司の今の仕事の話とか。」
ふん、とやつは鼻を鳴らす。
「お前に未練がありそうなことを言ってなかったか?」
「はあ?」
今日はイヤだと言い張った私を有無を言わさず強引に抱いたあと、更にまだ私の身体を撫でまわしながら、劉瀞は、今日は一日何をしていたんだ?と聞いたのだ。
今さらとは思いつつも、今日はイヤだと言ってみたのは、せっかく『外』に出た感覚をしっかりと味わっておきたかったのだ。まだ、弥生と過ごした時間の興奮の余韻が残っていたし、目まぐるしかった一日の光景をゆっくり反芻して楽しみたかったのだ。
こいつに抱かれたら、私はもう訳が分からなくなって、いつの間にか朝が来てしまうというパターンだ。
「庄司は、たった一人、俺に戦いを挑みに来た男だったよ。」
「…はあ。」
何のことか分からなくて、私はするりと下へおりようとする劉瀞の手を必死に制しながら相槌をうつ。
「お前が欲しい、ってね。」
「んっ…んんっ」
不意に劉瀞は、私の口をふさいで腰にまわしていた腕に力を込めた。抵抗する間もなく、私はやつの腕の中に抱きすくめられて、動きを封じられる。執拗に身体を撫で回されていたので、そこはずっと湿り気を帯びていたらしい。口を犯しながら、劉瀞の手は私の足の間をまさぐり、口が自由になったと思った途端、私は悲鳴をあげるしかなかった。
「きゃ…ぁぁっ、やあ…っ」
無遠慮に私の中に侵入してきた劉瀞は、そのまま奥まで到達すると動かずに私の様子をうかがう。
「庄司は良い男になってたって?」
「…そ…そんなこと…言ってな…」
「確かに庄司は良い男だよ。人間としても、男としてもな。でも、美咲、お前は俺のものだ。」
ぐい、と更に彼を押し込まれ、それは私の中を突き刺す。
「あっ…」
「覚えておけ、美咲。お前の身体を好きにして良いのは俺だけだ。他の誰にも触れさせることは許さない。」
低い、静かな声だったが、それは本気で言っていることだけは分かった。絶対的な命令をくだすときの底冷えのするしんと沈んだ声だった。
そんなすごまなくたって、別に私は庄司をどうこう思っているわけでも、特別な感情を抱いているわけでもない。
それは、劉瀞に対しても実は同じなのだが、それでも彼の指示で養われている私が、敢えて彼に逆らったりはしないってことは分かっている筈なのに…。
「…だ、だって…‘恋’のひとつもしてみろ、って…」
余計なことを言わなきゃ良いのに、なんだか、やつの物言いの理不尽さに、ちょっと私は抵抗してみる。
「ああ、そうだよ。それは構わない。お前も人並みに恋愛を楽しんでみるが良いよ。『外』で働いてみても良い。でも、それだけだ。」
私の胸を鷲摑みして、劉瀞は、先端に舌を這わす。もう、どこもかしこもとっくに敏感になっていた私は背筋に走る電流にのけぞる。
「やっ…あ、あ、ああっ」
手ですくい上げたり押し潰したりと私の胸を弄びながら、やつの舌は谷間や脇の下をくすぐる。繋がっている下半身がヒクついて、熱く疼きだす。触れ合っている部分が浸み出す液でべたついて、シーツを汚しているのが分かった。
「お前が狂って良いのは俺の腕の中でだけだ。」
だんだん、やつの言葉が意味を成さなくなっていく。頭は朦朧として、ただ身体の熱さだけを感じる。
こんな中途半端で弄ばないでよ、と私は結局、やつに哀願するしかない。
「りゅ…せ…お願…い…っ」
私の言葉が聞こえているのかいないのか、劉瀞は、更に散々私をじらした後、いきなり激しく腰を動かし始める。そして、今度は自分がイキそうになるとそれを逃がして、私の方が何度イってもどこまでも責められた。
「んっ…んんっ、んぅっ…ダ、ダメ…もう…っ」
目を開いていても、もう何も見えない気がするくらい、頭の中は真っ白で、揺らされる視界は光に満ちていた。熱くたぎる男が私の中で暴れ、そうかと思うと不意に動きが止まって生暖かい感触が胸を這い、唇を撫で、口の中を犯す。その熱い息遣いが耳のそばで何かをささやく。
いつでもこいつのセックスは激しかったが、その夜は異常なほどだった。
そして、恐らく真夜中過ぎに、やつが二度目の放出を終える頃には、私の意識はとっくになかった。