【 『花籠』シリーズ・総まとめ編】▼
2012.04.02 *Edit
■世の中の悪を裁く暗殺者集団を、連続短編で描いたのが本稿である。
物語には二つの集団を主軸に据え、次第に彼らが連携せざるを得ない状況を作り出し、彼らにふさわしい悪の出現でクライマックスを迎える。やがて闇は闇のまま静かに納まり各自散っていく様子までが語られた。原稿用紙100枚を超える超力作であった。
■花篭龍一の指令によって、おのおのの得意分野で悪を裁く「花籠」には、個性的なメンバーがそろっている。
故人の意思を探り出すことが出来るローズや、蛇使いの牡丹、毒薬調合のプロフェッショナルのアイリスなど、花の名前のついた彼らは、龍一の指令を中継点の雑貨店を通じて受け、独特のチームワークと華麗な技で悪を懲らしめにかかる。高校生同士の婦女暴行に無理やり協力させられるのが辛くて死んでいった少年の無念を親に伝えたり悪徳商法で荒稼ぎする会社の社長や妻らをあっさり殺害したり。彼らの仕事は、人間の尊厳を背くものへは容赦ない。それは龍一の信念であり、メンバーはその信念に共感を覚えて名を連ね、しかし、迷うことなくばっさりと暗殺を行うこともできる強靭で冷酷な精神の持ち主たちだ。
■一方、「スムリティ」という組織の日本支部総帥劉瀞は、虐待を受けていた幼児らを集めた施設を、社会から離れた場所で営む。子どもらは悲劇的状況下で連れてこられたため、日本の戸籍を有さず、義務教育からも見放されている。劉瀞は独自の方法で彼らを教育し、社会になじむまでに成長した時点でしかるべき措置をとって外の社会へ送り出してきた。しかし中には込み入った成長をみせる子どももいて彼らは社会に出たあとも劉瀞の仕事を手伝う。それは「スムリティ」本部の意志を担う仕事である「スムリティ」は、子ども達の保護と教育のためにさまざまな国で、水面下で活動する組織だ。けれどもその目的は、例えばテロリストを育てる集団等にとっては目障り極まりなく、スムリティを狙う組織も多い。彼らの、魔の手からすり抜けスムリティの結束をより強固にするためには、時には、劉瀞の指令で悪に立ち向かう青年たちも少なからずいるのだ。
■「花籠」の、スミレやローズ、ジャスミンといった、切れ味鋭い屈強な男たちが、奈緒や李緒など冷たく暗い過去を持つ少女らを見捨てられず、肌を摺り寄せるように暮らすことになる。ローズは奈緒と、ジャスミンは李緒と。仕事上、いずれ来るかもしれない悲劇を予感させる彼らの暮らしは、しかし、だからこそ極上の愛がひっそりと育っていく。小気味良い暗殺シーンや、残虐な格闘場面の合間に、程よいさじ加減、かつ最適な時系列で描かれる情愛に満ちたエピソードは、作品に緩急を与え、複雑に絡まり始める物語の潤滑油にもなっている。また、劉瀞の選んだ施設内の女性・美咲の心の揺れや成長も、劉瀞の人間的部分を見せる重要な鍵となる。エピソードの散らばせ方や、雑貨店店主や、次第に存在感を増す龍一など脇を固めるキャラクター造形にも抜かりがない。
■あえて苦言を呈するならば、スムリティがその目的を超えて結局は暗殺者を育てざるを得ない状況には疑問を覚える点と劉瀞の守る施設の在り方が、多少現実離れしている点が挙げられる。裏社会で悪を裁く集団いうなれば平成版「必殺仕事人」的な活劇は読み応えのあるものなのだが、そこには頑丈な土台が必要となってくることもまた、読み物の暗黙のルールであろう虐待等を受けたために戸籍の無いまま育つ子どもが、施設が必要なほど多く集まり、育っていく。その後社会で普通に暮らし、施設は見咎められることもなく運営される状況は首をひねらざるを得ないこのあたりを、物語上ではあっても納得のいく流れがほしかった。刑事らの捜査はあいまいにしか描かれないが、刑事を登場させるのであれば、彼らなりの鋭さも描くこともできれば、花籠やスムリティの存在感も、さらにリアリティを持って浮き上がってくるはずだ。
※ 上の↑講評(文芸社より)をふまえて、ちょこっと加筆したり、外伝をいくつか増やしたりしました。
で、ここに、総集編というか、細かな外伝等も本編の間にこちゃこちゃ入って訳分からんくなっているので、ここに順番に並べて加筆修正版を公開させていただきます。あ、「スムリティ」のR指定も抜きました。それから、外伝は2個増えました。どこに入ったかは…忘れました。どっかにあります(^^;
これは、本当に読者さまと共に作り上げた世界で、fate一人ではここまで辿り着くことは出来ませんでした。
本当に本当に心より感謝申し上げます(^^)
皆様からご感想いただいた加筆前のものも、そしてR指定のものも、それはそれでそのまま残します。
物語には二つの集団を主軸に据え、次第に彼らが連携せざるを得ない状況を作り出し、彼らにふさわしい悪の出現でクライマックスを迎える。やがて闇は闇のまま静かに納まり各自散っていく様子までが語られた。原稿用紙100枚を超える超力作であった。
■花篭龍一の指令によって、おのおのの得意分野で悪を裁く「花籠」には、個性的なメンバーがそろっている。
故人の意思を探り出すことが出来るローズや、蛇使いの牡丹、毒薬調合のプロフェッショナルのアイリスなど、花の名前のついた彼らは、龍一の指令を中継点の雑貨店を通じて受け、独特のチームワークと華麗な技で悪を懲らしめにかかる。高校生同士の婦女暴行に無理やり協力させられるのが辛くて死んでいった少年の無念を親に伝えたり悪徳商法で荒稼ぎする会社の社長や妻らをあっさり殺害したり。彼らの仕事は、人間の尊厳を背くものへは容赦ない。それは龍一の信念であり、メンバーはその信念に共感を覚えて名を連ね、しかし、迷うことなくばっさりと暗殺を行うこともできる強靭で冷酷な精神の持ち主たちだ。
■一方、「スムリティ」という組織の日本支部総帥劉瀞は、虐待を受けていた幼児らを集めた施設を、社会から離れた場所で営む。子どもらは悲劇的状況下で連れてこられたため、日本の戸籍を有さず、義務教育からも見放されている。劉瀞は独自の方法で彼らを教育し、社会になじむまでに成長した時点でしかるべき措置をとって外の社会へ送り出してきた。しかし中には込み入った成長をみせる子どももいて彼らは社会に出たあとも劉瀞の仕事を手伝う。それは「スムリティ」本部の意志を担う仕事である「スムリティ」は、子ども達の保護と教育のためにさまざまな国で、水面下で活動する組織だ。けれどもその目的は、例えばテロリストを育てる集団等にとっては目障り極まりなく、スムリティを狙う組織も多い。彼らの、魔の手からすり抜けスムリティの結束をより強固にするためには、時には、劉瀞の指令で悪に立ち向かう青年たちも少なからずいるのだ。
■「花籠」の、スミレやローズ、ジャスミンといった、切れ味鋭い屈強な男たちが、奈緒や李緒など冷たく暗い過去を持つ少女らを見捨てられず、肌を摺り寄せるように暮らすことになる。ローズは奈緒と、ジャスミンは李緒と。仕事上、いずれ来るかもしれない悲劇を予感させる彼らの暮らしは、しかし、だからこそ極上の愛がひっそりと育っていく。小気味良い暗殺シーンや、残虐な格闘場面の合間に、程よいさじ加減、かつ最適な時系列で描かれる情愛に満ちたエピソードは、作品に緩急を与え、複雑に絡まり始める物語の潤滑油にもなっている。また、劉瀞の選んだ施設内の女性・美咲の心の揺れや成長も、劉瀞の人間的部分を見せる重要な鍵となる。エピソードの散らばせ方や、雑貨店店主や、次第に存在感を増す龍一など脇を固めるキャラクター造形にも抜かりがない。
■あえて苦言を呈するならば、スムリティがその目的を超えて結局は暗殺者を育てざるを得ない状況には疑問を覚える点と劉瀞の守る施設の在り方が、多少現実離れしている点が挙げられる。裏社会で悪を裁く集団いうなれば平成版「必殺仕事人」的な活劇は読み応えのあるものなのだが、そこには頑丈な土台が必要となってくることもまた、読み物の暗黙のルールであろう虐待等を受けたために戸籍の無いまま育つ子どもが、施設が必要なほど多く集まり、育っていく。その後社会で普通に暮らし、施設は見咎められることもなく運営される状況は首をひねらざるを得ないこのあたりを、物語上ではあっても納得のいく流れがほしかった。刑事らの捜査はあいまいにしか描かれないが、刑事を登場させるのであれば、彼らなりの鋭さも描くこともできれば、花籠やスムリティの存在感も、さらにリアリティを持って浮き上がってくるはずだ。
※ 上の↑講評(文芸社より)をふまえて、ちょこっと加筆したり、外伝をいくつか増やしたりしました。
で、ここに、総集編というか、細かな外伝等も本編の間にこちゃこちゃ入って訳分からんくなっているので、ここに順番に並べて加筆修正版を公開させていただきます。あ、「スムリティ」のR指定も抜きました。それから、外伝は2個増えました。どこに入ったかは…忘れました。どっかにあります(^^;
これは、本当に読者さまと共に作り上げた世界で、fate一人ではここまで辿り着くことは出来ませんでした。
本当に本当に心より感謝申し上げます(^^)
皆様からご感想いただいた加筆前のものも、そしてR指定のものも、それはそれでそのまま残します。
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